Vol.95 「何が記者を殺すのか?差別とフェイクに抗って ~ドキュメント制作現場からの発信~」

ゲスト:斉加尚代さん(毎日放送・報道情報局ディレクター)

今回のゲストは、たいへん優れたドキュメンタリーを世に送り出す報道ディレクター、毎日放送の斉加尚代さんです。斉加さんはかつて、その功績により「放送ウーマン賞」を受賞したこともあります。そして今年5月、以前に「ギャラクシー賞-テレビ部門大賞」も受賞したドキュメンタリー「教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」を追加再編集した映画「教育と愛国」を公開されました。この映画は、すでに2万人以上を動員し、ドキュメンタリー映画としては異例のヒットとなっています。そこで今回は、斉加さんがドキュメンタリー制作を通して抉り出す現代社会の危機的なひずみについて、報道ディレクターならではの視点からじっくりと語っていただきました。

前半では、沖縄基地反対運動の取材の中で見えてきた差別、そしてそれを煽る偏向メディアについて。東京メトロポリタンテレビジョンで放送された「ニュース女子」をご記憶の方も多いかと思います。悪徳スポンサーの意向に従い平然と差別を拡散する大手メディア、そしてデモ隊との対峙をめぐり行政首長までが偏向発言で世論を扇動するありさま。他方には、悪意のある情報や、ろくに裏付けもなく無責任に発信された情報が渦巻くインターネットの中の虚構を信じ込んでしまう受け手の現実がありました。そんな時代において送り手、特に影響力の大きな大手メディアが担うべき責任・役割は、明白なはずです。そのようにメディアが劣化する中、私たち受け手はあふれる情報とどう向き合ったらよいのかについて考えます。

後半では、ゆがんだ教育行政について伺いました。国家権力が教科書検定により教育現場に介入、政権にとって都合が悪い史実を捻じ曲げていく中、教科書出版社は、検定合格のために忖度し、その結果、教育の中ではますます真実の伝承が難しくなってきています。取材を通して苦悩する出版社の編集者や識者の生生しい言葉を交えて、その現実を教えていただきました。

また番組最後には、インターネットの中のフェイクや人種差別、バッシングについて伺いました。フェイクニュースやSNSによる中傷・デマ情報の拡散など、斉加さん自身も深刻なバッシングを受ける中、事実と異なる情報で簡単に大衆扇動が起こる現実と、それらに向き合う私たちのとるべき姿勢について伺いました。

いつも冷静かつ丁寧な取材で社会に鋭くメスを入れる斉加尚代さんのお話は、とても聴き応えがありあす。どうぞ1時間ごゆっくりとお聴きください。

ドキュメンタリー映画『教育と愛国』
 
公式HPはこちら!
https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/

何が記者を殺すのか大阪発ドキュメンタリーの現場から/斉加尚代(集英社新書)
詳細はこちらから!

00:03 前枠 TM~
01:56 前半 Jingle~
28:24 後半 Jingle~
56:53 後枠 ETM~
58:22 アナ尻
60:00 曲尻

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