Vol.167 ふたつの特集「能登半島地震 被災地からのレポート・助かった命を守りたい」「マイナ保険証で現場は大混乱・義務化を中止せよ!」
ゲスト:特集1:前原土武さん(災害NGO結) 特集2:藤田正明さん(東大阪生協病院・医師)
第167回は、ふたつの「現場の声」を特集します。
特集1:能登半島地震 被災地からのレポート・助かった命を守りたい
現場レポート:前原土武さん(災害NGO結)
前半は、元日に発生した能登半島地震の被災者支援にあたっている災害NGO結の前原土武さんに、甚大な被害に見舞われている被災地のひとつ、能登町からレポートしていただきます。前原さんは、3.11東
日本大震災の時から様々な自然災害現場で活動し、必要な支援を訴え続けていらっしゃいます。今回も、1月1日の発災時からすぐに準備をはじめ、翌日2日には現地入りし、活動を展開されています。
まずは、3週間以上が経った被災地の現状を伝えていただきました。未だ水道すら復旧していない一次避難所はもとより、支援が滞りがちな自主避難所、老人ホームや障害者施設で何が起こっているのかなど、現地の人々とふれあいながら支援を続ける前原さんらならではの視点で教えていただきました。民間の活動団体の中でも前原さんらが特に秀でているのは、重機などを扱う土木の専門家も確保していて、寸断された道路を仮復旧させたり、川から応急で水をくみ上げたり、倒壊した住宅から自動車を取り出したりと、まさに目の前で困っていることを迅速に解決する部隊であることです。そして、行政や地域の人々との信頼関係を丁寧に築きながら活動を続けていると言います。他方、行政の支援は遅すぎるとの批判について問えば、地方自治体のレベルでいうならば、自治体の職員も自身の家族や家が被災しながら住民支援にあたっているというたいへん厳しい現実もあるのだとおっしゃいます。そういった職員や被災地の外から支援に来たスタッフ、この先ボランティアを募る際も含めて、「支援する人を支援する仕組み」を充実させることも被災地復旧には欠かせないのだと訴えます。そして印象的だったお話のひとつに、避難生活が長くなると、精神的疲弊から避難所内での人間関係が上手くいかなくなることもあると言います。そこで少しでも避難先での労働を軽減させるべく、前原さんらは炊き出しを手伝ったり、食料を代わりに調達して来たりと、細かな支援を欠かさないのだとおっしゃいます。行政の大枠の支援では行き届きにくい個別のニーズに寄り添っていく、そういった民間NPOなどの支援もとても重要なのがわかります。
また今後の復興については、高齢化が進み、家々が倒壊した地域も多いことから、町の再生には時間がかかり、課題も多いと言います。壊れた町や散り散りになったコミュニティを再生するには、従来の法律や支援制度の枠組みを超えた新たな視点が必要ではないかと前原さんは強調されました。つぶさに現場を知る前原さんだからこそ、知り得ること、気付くことは多く、私たちメディアはそういった被災地の切実な現状、被災者の思いを行政に届けていかなければならないと、改めて感じた現場レポートになりました。
特集2:マイナ保険証で現場は大混乱・義務化を中止せよ!
電話インタビュー:藤田正明さん(東大阪生協病院・医師)
後半は、問題だらけの「マイナ保険証」について、東大阪生協病院の医師・藤田昌明さんにお電話でお話を伺います。マイナンバーカードは任意であるのにも関わらず、国は今年12月には従来の保険証を廃止
し、すべてをマイナ保険証にすると言っています。病院で受付できない不具合の頻度は高く、高齢者や障害がある方にとっては、暗証番号も顔認証も利用困難な場合が多いといいます。なぜこのように社会的弱
者に厳しいものを、何が何でも国が推進しようとするのか全くわかりません。機械や回線の導入、対応スタッフの手間が増えるなど、医療現場の負担も大きいといいます。
そもそも現在、認証できない時に備えて従来の保険証も持ち歩けということなのですから、マイナ保険証の存在の意味が全く不明です。藤田さんによれば、マイナンバーカードを持っていない人や、持っていて
も保険証を連携していない人を含めれば、このままでは国民の約半数が「保険難民」になりかねないと言います。これまでの国の数々の不手際から、国に吸い上げられた個人情報・医療情報がどのように使われ
るのかも不安です。こんなデタラメな制度は、すぐさま中止せねばなりません。今回は、そんな医療現場の生の声に、ぜひ耳を傾けていただけばと思います。
全国保険団体連合会による署名活動「2024年秋の保険証廃止は撤回を!!」にご協力ください。
00:03 前枠 TM~
05:02 前半(被災地レポート)Jingle~
40:44 後半(マイナ保険証)Jingle~
56:33 後枠 ETM~
58:13 アナ尻
60:00 曲尻
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